クラウド自動化のサンプルありますか?結局何がうれしいんですか?
よくいただくご質問です。端的な回答は「時短と全集中に効く」です。カッコつけていうと「中小企業のDX的スマートハック」です。本記事ではサンプルを3つご紹介し、具体的に回答します。
この記事でわかること
- 技術者でなくてもハックはできる
- 普段の業務で自動化できるところ
- クラウド自動化に慣れる使いかた
スマートハックというと、ポモドーロ・テクニックやルーティン改善などが思いつくかもしれません。スマートにハックして生産性や創造性を高めるわけですから、気合と根性だけで努力し続けるというのはありえません。
テクニックやルーティンというのは、要は「システムを活用する」ことです。
全集中するには、本質的でない手作業や気が散るタスクを機械に任せる「ラクな」やりかたが有効です。鬼滅の刃が盛り上がっていますが、私たちは異界にアクセスするほど極限状態に入って岩を切ったり、一町ほど手で押す必要はないのです。
では早速、クラウド自動化ツールIntegromatを活用し、スマートかつノーコードにライフ・アンド・ワークをハックしていきましょう!
Integromatとは
- チェコのスタートアップ
- ノーコード系自動化ツール
- クラウドアプリ連携500以上
プログラミング不要ツール
ザックリIntegromatについてご紹介します。Integromatは2016年チェコでスタートアップしたノーコード・スタートアップです。つい最近、ドイツとアメリカにHQがあるCelonisというエンタープライズ系プロセス・マイニングツール(人工知能による業務分析など)企業に買収されました。
Integromatの得意分野は中小企業のクラウド自動化です。ここでいう自動化とは、ワークフロー自動化とビジネス・プロセスの自動化です。具体的にいうとSaaSと呼ばれるクラウド上のアプリ同士を連携させ、手作業を減らすことが可能です。
通常、こういった作業はAPI連携といって、連携部分をプログラミングする必要があります。しかし、Integromatを使えば「今すぐ」アプリ連携が可能になります。エンジニアや情報システム部門に依頼する必要は(社内ルールを除き)ありません。
以下は、自動化できる主なエリアです。連携アプリにもよりますが、かなりイロイロなことができます。

自動化はシンプルに試そう
では、自動化の実装例をみていきましょう!
ポイントは「小さくテストして理解する」です。ちょっとだけ自動化して、うまく行ったら(鬼滅の刃に出てくる)伊之助のように「ほわほわ」することが大切です。モチベーションは重要です。
以下、2つの例はとてもシンプルですが、使ってみると有効です。投資でいう「純金積立」や「つみたてNISA」のようなイメージです。つまり、放置型の少額投資といえるでしょう。
簡単なカスタマーサポートシステム

えーっ、たった2つしかないじゃん!こんな自動化意味あるの?
そう思われたかもしれません。しかし、実はそれなりのことを裏でしています。これは筆者がIntegromat日本コミュニティのウェブサイトで運用している実例です。
詳しくはリンク先を確認いただきたいのですが、以下4つのフローが自動化されています。
- サイトのフォームから質問を送信
- 管理ツールでチケットを自動発行
- サポート担当に自動的にアサイン
- チャットにてサポート概要を通知
導入ツール:UMSO、ClickUp、Slack、Integromat
カスタマーサポートというとZendeskのような高機能ツールが有名です。とても良いツールだと思います。しかし、高機能ゆえ、ほとんどの機能を使わないケースも多いです。そこで、ある人々はAirtableで自作したり、HubSpotを使います。
筆者の個人的な意見ですが、Airtableで実装する時間すらもったいないと感じます。であれば、すでに機能を持っているプロジェクト管理ツールClickUpを活用し、カスタマーサポート・システムを構築してしまったほうがラクです。
ClickUpにはKPIやメトリクス管理機能もありますので、ダッシュボード化が簡単にできます。それにゴール設定機能がありますから、OKRを管理することも可能です。実にすばらしいです!
簡単なマーケティングデータの分析

えーっ、たった3つしかないじゃん!こんな自動化意味あるの?
再度、そう思われたかもしれません。しかし、これもお役立ちツールです。ネットショップのカート落ち、決済トラブルが改善されるだけで、売上が数十万単位で改善されるケースがあります。
もちろん、Shopifyの管理画面から確認、エクスポートも可能です。しかし、それでは手作業になってしまいます。あとで集中的に分析するため、データを自動蓄積しようという話です。
ここでは、以下2つのフローが自動化されています。
- カート落ちデータを定期的に抽出
- 抽出データをデータベースに格納
導入ツール:Shopify、Airtable、Integromat
ここでAirtable(有料プラン)を利用するメリットは、グラフ・チャート用アプリを使えることです。無料プランでも、後でアンケートメールを送付するなど、顧客情報システムとして機能します。もちろん、CSVダウンロードしてExcelやGoogle Sheetsで分析してもかまいません。
ポイントは、デジタルマーケティングの実践を「自分で小さく実施する」ことにあります。カゴ落ちメールに任せるだけでは改善策は見えづらいですし、データを蓄積して活用する方法を学習できます。
IntegromatはShopify APIにプログラミングなしでアクセスできますから、欲しいデータをちょっと持ってきてクラウドで分析することは良い経験になります。
まとめると、メリットは時短。ベネフィットは時短から得られるスキルアップです。自動化するフローはシンプルなほど効果がわかりやすく、メンテしやすいです。そして、デジタル化、データ活用が低コストに実施できるようになります。
より高度な自動化サンプル
ここからは、もう少し高度な自動化もチェックしましょう!
ポイントは「いつも手作業で繰り返しているフローを置き換える」ことです。あっちのツールからこっちのツールへコピーして、送って…というフローを自動化し、時短するのが狙いです。
以下の例はエシカルワークスで実際に運用している自動化です。昨晩も4件の資料ダウンロード(英語版)がありました。寝ている間にシステムに働いてもらう意義がここにあります。
自動のセールス・マーケティング

はーっ?メール自動送信なんてありふれてて今更感アリアリなんですけど…。
三度目の正直、そう思われたかもしれません。しかし、これはもっと奥が深い自動化です。ちょっと手を入れるだけで、セールス・マーケティング自動化まで深く入っていくことが可能なのです!
ラフな見積もりですが、セールス1名、マーケティング1名、サービス1名だとすると、3人分の仕事を1人で完了できます。中小企業だけでなく、一人経営者(ソロプレナー)も必見です。
ここでは、以下6つのフローが自動化されています。
- サイトからメールアドレスを登録
- メール配信システムにデータ登録
- 顧客情報システムにデータ再登録
- ストレージから資料リンクの取得
- メールで資料リンクを添付し送付
- チャットで資料送付の完了を通知
導入ツール:UMSO、Mailchimp、Airtable、G Suite、Slack、Integromat
なぜこの自動化が高度かというと、対人タスクを自動化しているからです。対人タスクというと、チャットボットのような機能を想起しがちですが「自分のメールで自分のつくった資料を自分の書いた文章とともに送付する」ところに意義があります。
顧客体験を犠牲にしていないということです。しつこいフォローアップメール、いきなりはじまる大量のセールスメールもありません。わけのわからないボットのメッセージもないのです。
加えて、高度な自動化ポイント「条件分岐」があります。Integromat用語で「ルーター」といいます。
この事例では「英語のページから資料請求した人は英語の資料を英語メールで送付」し「日本語ページから資料請求した人は日本語の資料を日本語メールで送付」しています。
これまで、条件分岐はプログラミングが必要でした。今はノーコード実装できます。条件にはキーワードや計算式が入りますので、プログラミングと同じようなことが実現可能です。
拡張ポイントですが、顧客情報システムをAirtableからHubSpotに変えたり、API連携できる基幹システムに置き換えれば、既存のシステム連携も可能になります。このあたりは専門知識が必要なケースがあります。
ラクの秘訣は機械との連携
まとめると、ラクの秘訣はクラウド自動化です。今、インターネットやクラウドを使わないほうが少ない時代です。スマートフォンのデータもクラウドにあることがほとんどです。
メリットは時短です。例えるならば、絶賛子育て中の共働き夫婦が「料理を時短したい」と思うあの感覚に近いです。余計な時間を使わなくて済みます。Netflixを観ている間にセールス・マーケティングが自動化されているといえば納得でしょうか。
ベネフィットはデジタルスキルと仕事の質向上です。データ活用、デジタル・マーケティングの実施、ワークフローやビジネス・プロセスの改善など、同時進行で実施できます。例えるならば、脳トレゲームをやっていたらIQが160になっていた。そんなイメージでしょうか。

もう一度、具体的な自動化イメージです。昨日、筆者が実装した自動化です。仕事用のチャットに添付されたファイルを自動でGoogle Driveに保存し、共有リンクを発行し、チャットに通知するというものです。チャットで迷子になったファイルを探す必要がなくなりそうです。
コツはとにかく小さくシンプルにラクしようとすることです。これを忘れると、RPAをガンガン設定したのに毎週止まる… みたいなことになります。もっというと、シンプルな自動化を組み合わせること自体、優秀なエンジニアがプログラミングでやっていることなのです。
ステキなスマートハックで時短とスキルアップをお楽しみください!
Integromatについてのお問い合わせは「こちらのフォーム」もご利用いただけます。無料コミュニティは「こちらのリンク」から参加いただけます。