価値の交換:非公式経済と貨幣に学ぶサービス開発

価値の交換:非公式経済と貨幣に学ぶサービス開発

"疫病には、罪悪、贖罪、希望という三つの意味が同時に宿る"

— ジャック・アタリ

出典:命の経済 — パンデミック後、新しい世界が始まる

エクストリームは富の源泉

今日のお題は「サービス開発の教科書 〜 極限状態における、価値交換と経済活動」です。

具体的に書きます。

エクストリーム・エコノミー(極限経済)は、これからの都市経済の雛形である。また、刑務所や難民キャンプにおける物々交換や非公式の経済活動は、通貨に対するクリプト、トークンエコノミー、スキル交換の棲み分けと似ている。

論点のまとめです。

私たちはヤバイ経済、極限状態から学習できます。そして、パンデミック後の世界のため、パンデミック中に文化を形成し、充分セットアップできます。

筆者も、東南アジアでエクストリーム・エコノミーを経験し、インフレも体感しました。そういった体験を活かし、ここ日本でも「前に進むレジリエンス」を考えたい。そう感じています。

先に、貨幣の役割をまとめておきます。

貨幣の持つ4つの役割

  1. 交換媒介としての「共通認識」
  2. 現在価値を測定する「ものさし」
  3. 将来価値を決定する「基準」
  4. 経済価値を維持する「貯蔵庫」

出典:エクストリーム・エコノミー 大変革の時代に生きる経済、死ぬ経済

貨幣の役割中、実に3つが「価値」に関係しています。経済活動の根本は、価値の共通認識だといえそうです。パンデミックという極限状態の今、サービス開発に役立てない手はありません。

エクストリームとサービス

"サービスとは、簡単に言ってしまえば、単にだれかが何かをするのを助けるものである。"

出典:Good Service DX時代における “本当に使いやすい” サービス作りの原則15

まず、結論は「価値交換と経済活動におけるサービスの定義」です。

誰かが何かをするのを助ける。目的の達成をサポートする。それがサービスです。そのサービスをデザインし、一貫した質の高い体験を目指すのがサービスデザイン。そのデザインを実現するのがサービス開発。と理解しておけばよさそうです。

具体的に書きます。

売上アップしたい、コーチやコンサルタント。

彼らをサポートするサービスをFacebookグループで提供する。難しいマーケティング理論やフレームワークを廃し、シンプルでシーケンシャルなメソッドをライブ配信で教える。メソッドを使うマインドセットも伝える。

今、筆者がFacebookで参加中の、ミリオネア・コーチング系サービスです。

次に、エクストリームな具体例です。

プッシャーと呼ばれる、ドラッグ・ディーラー。彼らは、人が欲しいモノを持っています。プリペイド式「飛ばしのケータイ」で連絡を取り、毎回変わる手渡し場所で現金と交換。

どちらも「誰かが何かをするのを助ける」サービスです。

規制や制限だらけで身動きが取れない状況。ある意味「極限状態」で生み出され、編み出された、価値交換と経済活動があります。共通項は「小さな経済圏」や「小さな生態系」です。

そして、いずれの場合も「交換できるモノ、交換したいコト」がハッキリしています。

ポイントは、限られたリソースや、限定されたプラットフォームで、うまく有機的にモノゴトを動かしていることです。インドでいうジュガール(Jugaad)ですね!

価値交換のシステムと情報

"ほしいものがある人はおおぜいいて、望まれるものをもっている人もおおぜいいる。だが、物々交換が成立するには欲求が二重に一致しなければならず、これはめったに起こらない。"

— ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ、経済学者

出典:エクストリーム・エコノミー 大変革の時代に生きる経済、死ぬ経済

交換が成立する条件として、お互い相手にとって必要なモノゴトを提示できるか、というものがあります。

食べられる通貨、米。米をカボチャと交換したい。しかし、カボチャ保持者は米もたくさん持っている。これだと、交換は成立しません。ただし、相手の困窮を助ける交換は例外です。

前述のグループ・コーチングの例は、交換が成立します。

無料で提供されるフロント商品。Facebookグループとライブ配信。

提供者は、プロトタイプ検証の場や、深いリサーチ・データ(インサイト)が欲しいです。また、そこからつながるアップセルやクロスセルが見込めます。バックエンド商品の販売です。

面白いのは、スタートアップ手法をコーチングやコース開発に適用していることです。逆に、私たちスタートアップも、得られるものがあるはずです。

また、利用者は、専門用語やフレームワークだらけのマーケティング理論や、スタートアップ手法を理解せずとも、成功者から無料で学べます。より踏み込みたければ、深い情報を買う。

成功者の情報が価値。課題を抱える人の情報が価値。情報が共通の価値です。

パンデミックで物理的なイベントが制限されても、プラットフォーム上で成立しています。それどころか、マーケットが広がっています。

現に、筆者は日本にいながら、アメリカの成功者からリアルタイムで学んでいます。Facebook Messengerで毎日やりとりもしています。従来であれば、外国の成功者とそんなカンタンにコミュニケーションできなかったはずです。

情報という価値。目的達成をサポートするサービス。起業のポイントですね!

アングラ活動から学習する

アングラ世界の価値交換。

こちらも非常に興味深いです。非公式経済という意味で、ドラッグの例もそうです。また、隔離されたキャッシュレス難民キャンプや、規則でガッチガチの刑務所も知恵が求められます。

これらの例から学べることは、価値交換と経済活動はドルのような暴力通貨だけが支配しているものではない、という重要なポイントです。

アメリカにありながら、刑務所の中ではドル(現金)がつかえない。

キャッシュレス難民キャンプも、物資の規制や、限定された交換手段のせいで、欲求が満たせず、ギャングの助けを借りている。

これらは「モノを代替通貨と交換する」というケース・スタディです。私たちはパンデミック中、パンデミック後の価値創造や経済(恵財)活動に適用できることがあります。

例えば、クリプト。トークンエコノミー。

金融のあり方に挑戦するということは、国のあり方に挑戦するということ。

返しきれないほど莫大な借金を抱え、プラットフォーム利用者からあらゆる手段で搾り取る手段を講じる企業がいたら、私たちユーザーはどうするか。

そんなサービス使うのか?ということです。

筆者も、東南アジアで「仮の住居とマーケティング業務」の価値交換をした経験があります。

いったん、これまでの延長線上から外れて、社会から外れた視点で生きてみて、ぜんぜん接点のない生態系を自分の生活に当てはめることで、視えてくるものがあります。

筆者も、2017年、現行の経済システムを離れて実験をしてみました。結果、年収15万円(年間です!)というクライシスとなったわけですが、得られた教訓はたくさんありました。

長期休暇をサバティカルといったりしますが、サバイバルでクリティカル、略してサバティカルみたいな状況ですね…(笑)

しかし、今は、あえてそんなエクストリームなことをしなくても、パンデミックがエクストリームです。この状況、環境を利用しない手はないのではないでしょうか。

富の創出に必要な最小要素

"ようするに、すべてが非持続的であり、もはや許容しがたい状態にあると誰もが無意識のうちに感じていたところに、今回のパンデミックが発生したのだ。これまでの状況は不合理なことばかりだった。抜本的な変革が必要だった。行動することが必要だと、われわれは薄々気づいていた。"

— ジャック・アタリ

出典:命の経済 — パンデミック後、新しい世界が始まる

パンデミックは予見されていたが、備えがされていなかった。これが、よくある世界の識者の意見です。もちろん、コトが起きてからアレコレいうのはカンタンです。

ただし、ダボス会議やジャック・アタリ氏はこの世界の権力に近いというウワサもあります。あえて無視するよりは、投資家マインドで解釈するほうがよいかもしれません。

私たちの「問題先送りグセ」「人の話を聞かない習慣」「面倒なことは他人任せにして見なかったことにする習性」「問題が起きるまで準備も対応もしないメンタルモデル」など。

これらが、多くの問題を引き起こしていることに疑いの余地はありません。

トラクションという本を読んでいて思うのですが、今までの成功パターンやシステムが役に立たないような世界になってはいないでしょうか?

ガッチガチに目標や石を決め、課題をリストしてから動き出す。有効でしょうか?

筆者は、もっといいとこ取りして、さっさと行動したほうがいい気がしています。動画でアプローチしたければプロトタイプする。テキストで訴求したければブログを書く。自動化をサポートしたいのであれば、小さなサンプルをたくさんつくる。

事前に必要なのは…

これからの世界をどうしたいか、というビジョン。行動のベースにある、価値基準。現状の分析やスキーム開発のちょっとした知識とコツ。そんなものではないでしょうか。

あと、観察力は最大のツールです。五感も、第六感も駆使します。

どちらかというと、どの現象をサンプルするか、相似形として使えるのはなにか、やりながらできる方法はなにか、そういうほうが重要になってくるはずです。

中途半端な規模が解体され、微妙な関係がデカップリングされ、搾取やせどりの思考が淘汰されます。そういったトレンドでどう学習するか。

善悪の価値観や、誰かが都合よく設定した道徳観ではなく、ただ観る。使ってみる。手を汚す。

そこから開けてくるモノを楽しみにしたいものです!

We Can Help You!

お問い合わせ、ご相談、お待ちしております。